■ アフリカの鉱物と世界経済−理論検討−

                          明治大学大学院商学研究論集 第22号2005年2月(予定)               

 本稿の課題は、アフリカの鉱物資源と世界経済との理論的なかかわりを指摘することである。1980年代後半以降、東アジアの急速な経済発展の要因分析手段として多国籍企業論がしばしば援用されるようになると、それまで活発に議論されていた従属論を中心とする主張は、現実の経済現象を十分に説明できない理論としてその影響力を次第に失っていく。その結果、近年のグローバリゼーションの潮流と相俟って、アフリカは世界経済とは全く関わりのない孤立無援の経済圏として理論的な分析枠組みから排除されてしまった。まずはこの理論趨勢を従属論と世界システム論の視点から改めて問い直したい。世界システム論で特に着目したい点は、ウォラーステインが世界資本主義システムのなかで重要な一要素として規定する「商品連鎖」概念である。同概念は、多国籍企業を中心として展開される世界的ネットワーク関係のなかでアフリカを固定化された原料供給基地として企業内国際分業に組み込まれた経済的アクターとして把握することを可能にする。このことは旧来の国家間における直接的な支配従属関係から構成される世界経済構造の把握方法からの転換を意味している。すなわち世界経済を介在させた多国籍企業を中心とする直接・間接的な支配従属関係として世界経済を捉え直すことで国民経済の論理を越えた資本主義経済がもつ固有の運動法則の理論的解明への新たな道を開く可能性を示唆している。従って本稿では、世界システム論を取り入れることで現代的な意義を指摘している諸理論、および同理論に対する批判点を検討しつつ、現在わが国で展開されている理論的潮流に対する欠落点を指摘し、世界経済の動態把握に対する新たな理論的地平の可能性を模索したい。

キーワード

世界システム論、商品連鎖、多国籍企業論、サハラ以南アフリカ、従属論、鉱物資源

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